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キヤノン・印刷業界向けPOD機を投入
「imagePRESS」のブランド名に思いを込める
全ての新技術で再構築
電子写真方式からインクジェットの方式まで、各社から多様なデジタルプリンターが市場に投入されている。その中で、最後発のメーカーとしてキヤノンが、印刷業界をターゲットにした最新鋭機を投入してきた。2004年のdrupaでビハインド・ザ・カーテンの形式で一部ユーザーに公開してから、ゼロックス対抗機として関心を呼んできた。今年のipexで正式に一般公開、その後国内で記者発表され、9月14日から開催されたJGASで初めて国内で一般公開された。
多くの機構を新しい技術で固められた、印刷業界向けのフラグシップマシーン「C7000VP」と印刷プリプレス工程上のカラープルーフを担う「C1」の2機種。改めてゼロックス追撃機の真価をキヤノンマーケティングジャパンのビジネスプロダクト企画本部プロダクション商品企画課チーフ・廣井正和氏への取材を元に検証してみた。
CLCでは果たせなかった機能を確立
C7000VPとC1の誕生には、従来のCLC(カラーレーザーコピア)のシリーズ(国内愛称:PIXEL G SERIES)で培った技術と経験が生かされているが全く新しい技術も数多く搭載されている。
「CLCはプリプレス分野におけるプルーフ手前のカンプ用途」が多かった。また、もう一方のCLC5100(New PIXEL MAX/51枚機)も、CLCの高速タイプではあったが、「クオリティー的にまだオンデマンドをうたうにはちょっとスペック的に物足りない」範疇にとどまってきたようだ。
今回、「imagePRESS」という新しいブランドが打ち立てられ、「C1」と「C7000VP」の2機種でブランド構成された。
この2機種の基本的な位置付けは、C1は今までのCLC、カラーレーザーコピアシリーズのポジションを踏襲して、プリプレス分野での用途に対応させることを想定している。画質、クオリティーを従来よりも格段に向上させ、今まで本格的に踏み入ることができなかったプルーフの分野をターゲットにした商品となっている。
C7000VPは、MAXでPODの世界まで打ち出すことができなかった機能を、新たな技術で完成させ、「キヤノンのオンデマンド機」としての立場を確立する。
印刷業界が求める品質と生産性に対応できることを「imagePRESS」のブランド名に込めていることからも、キヤノンの自信と意気込みをうかがうことができる。また「VP」には、ベリーパワフル、バリアブルプリントなどのいろいろな意味が込められているのだという。
光沢感を均一にする技術で品質維持
印刷業界を対象とするフラグシップマシーンとして「PRESS」を冠した2機種を投入してきたキヤノンは、現状の、あるいはこれからの印刷業界の市場性をどのように計測しているのだろうか。
「一言で言うと、ポテンシャルがあるマーケットだと考えています。紙を媒体とするドキュメントは、電子化が進んで減るとずっと言われていますが、紙ほど情報伝達のツールとしてポテンシャルがあるメディアはないので、そうそう簡単にはなくなるものではないと思っています」。
ただし、これを増加させるには条件があるとも見ている。
「今までのやり方、今までの情報伝達の仕方をそのまま踏襲していただけでは、なかなか増加はしていかないと考えています。いわゆるOne to Oneマーケティングをもっと推し進めていく必要があると考えています。それを行うに当たっては、小回りがきくデジタルプリンターが一番適しているのではと考えています」。
その中で、クオリティーや、生産性などの重要になるファクターが出てくる、のだという。では、後から出てきたと言うことでの勝算をどのように考えているのだろうか。
「今、市場で課題とされる点について、マーケットの分析をし、その結果、誕生したのがimagePRESSです」。
画質、クオリティーという面からみれば、電子写真方式でプリントしたものは、一目でこれは電子写真方式だと分かる仕上がりになっていたのは否めない。いろいろな要因があるが、一番大きな要因は光沢感だ。熱を加えて紙にトナーを定着させる方式をとるため、ワックスをトナーに内包させるか、もしくは定着をするときにオイルを塗布して焼き付かないようにするか、二つの方法のどちらかを採用するしかないためだ。
「ワックス内包の場合ですと、オフィスで使われるようなドキュメントであれば、マットな仕上がりで特に問題はないでしょうが、いわゆる印刷業で求められる写真の画質では、ちょっと物足らないといいますか、クオリティー的にはそんなに高いものがアウトプットとして実現できていませんでした。オイルを塗布する方式は、それなりに画像の品質を保てますが、濃度部分は過度な光沢感が出てしまい、傾けると高濃度部分だけ非常に光って、逆に低濃度部分のほうは光沢がほとんどないような、光沢感の差が非常に大きかったわけです」。
imagePRESSは、光沢感を均一にする「グロス・オプティマイゼーション(Gloss optimizeation)」という機能を搭載しており、CL1,C7000VPとして、画質をオフセット印刷に近づける大きな要素になっている。
64-300gの用紙で毎分70枚
C1とC7000VPのポジショニングの違いはあるが、高画質の実現は共通技術になっている。では印刷業界での使用を前提とするC7000VPの特徴を検証してみよう。
高画質を維持しながら高生産性を実現する、この両立が、まず一つ目の特徴になる。A4横で毎分70枚のスピードを実現していて、対応している用紙は、64g紙から300g紙までいずれの紙を使っても、このスピードを維持できる。
「従来までですと、厚紙を使う場合は、ゆっくり定着をさせないと紙にトナーが浸透しないという関係上、スピードを落とし処理を行っていました。C7000VPは定着器を二つ付けることによって、用紙の坪量が変わっても常に同じスピードを維持することを実現しています」。
64~300gまでメディアが変わっても、同じスピードで処理するこの機能を「メディア等速」という。
「メディア等速」により実現する高い生産性と同時に、印刷業界のフラグシップマシーンたらしめる品質を構成する技術を見てみよう。
■トナー「Vトナー」
5,5ミクロンという非常に小さい粒子のワックスが内包された粉砕型のトナーで、グロス・オプティマイゼーション、光沢感を均一に保つという特質を持ったトナーになる。トナーの粒子が細かいので、当然、仕上がりの画像自体も非常にきめの細かい絵を再現することを実現している。「V」はビビットカラーの意味。
■現像剤「Tキャリア」
この現像剤を使うことによって、ドラム上にトナーを非常に均一に、滑らかに乗せることができ、ガサツキを抑え、きめの細かい絵を実現できる。
■転写ドラム「Eドラム」
OPCドラムに独自の特殊コートを施し、タフで削れにくい構造になっている。ドラムの削れは、画像不良につながってしまうが、この技術によって安定した画像を形成する。特殊コートの内容については企業秘密ということで情報を提供されなかった。
A3フルトンボで小型オフの補完
C7000VPには、大きく三つの特徴が示されている。一つは、高画質と高生産性の両立。2番目は、メディアの対応幅が非常に広いということである。
「従来までですと、弊社でご用意させていただいたメディアのみを保証する形でしたが、今回は、いわゆる印刷本紙についても、私どもで検証を行って問題ないものをということになりますが、保証紙ということでご案内をさせていただく予定です。」
それぞれのメディアの質は異なるので、同じ機械制御では問題が生じることが考えられる。そこでC7000VPでは、メディアごとのパラメータを持たせ、たとえば、メディアによては一つの定着器だけを通して、また別のメディアには二つの定着器を使うなど、メディアにあった機械制御を行っている。
単に定着器を二つ使うか、使わないかだけの話ではなく、実際には複数条件のパラメータがセットされている。いづれにしてもメディアによって最適な機械セッティングを実現しているというのが、この機械の特徴になっている。
「13×19,2インチまでのサイズのメディアを通紙することができます。A3でフルトンボが印字できるサイズになります」。
完全に印刷を対象にしているが、小型のオフセット印刷機に代わるシステムとしてアプローチしているかに見える。
「オフセット印刷ではカバーできないところ、こういう機械だからこそカバーできる、即ち小回りがきくことによってご提供可能なお仕事、そういったものをターゲットとして考えています」と、オフセット印刷機の補完機であることを強調する。
「稼働中にメディアを補充することができますし、稼働中のトナー交換喪可能です。また、電子写真方式ですと廃トナーというのが必ず出てくるのですが、その回収ボトルの交換も稼働中に可能です。なるべく機械を止める時間を少なくするような設計になっています」。
給排紙系の能力は、オプション込みで最大1万枚まで用紙がセットでき、排紙系も、最大1万枚までストックすることができる。理論上は1万枚までは無人で動かすことができると言う。
「ダウンタイム軽減の一つとして、色味の安定技術で、従来までの機械にも、機械の内部、ドラム上にパッチを打って、それを機械内のセンサーで読み取って色味の補正をするという機能がありましたが、さらにそれを進化させています。今までは、ジョブとジョブの間にそういう作業を行っていましたが、紙と紙の間、ワンジョブの中でそういう作業を行うことが可能です。これによって、ジョブはそのままスムーズに流れていくわけなので、頻繁に調整の時間をとる必要がありません」。
CTPとオンデマンド出力を両立
CTPとデジタル印刷機による2つのラインでの出力を可能にすることが、オフセット印刷業界での導入条件とも言える。
「最終的には印刷ワークフロー中のセンターリップでリッピングしたものを、C1でプルーフィングをし、OKだったものを、ボリュームが大きいものは、そのままオフセットのほうに流す。また、追加のロット分については、C7000VPで出力する。その時にオフセットの印刷、C1、プルーフィングの印刷、そしてC7000VPでの印刷とすべてカラーマッチングがとれていることが必要最少条件になりますが、それをクリアできるだけのポテンシャルはあると考えています」。
もちろん、センターリップから吐き出すPDFやTIFFという、いわゆる標準的なフォーマットを受けることができる設計に、C1もC7000VPもなっている。カラーマッチングについても、RIPがEFI社製のFieryを採用していることから、カラーマネジメントシステムについては、ICCプロファイル、もしくはデバイスリンクプロファイルを使った形でカラーマッチングを可能にする仕組みが出来上がっている。
出力した後の製本加工の部分も、同一のデジタルデータで管理したい。データ入力から製品仕上げまで、一貫したワークフロー展開が望まれてもいる。この点についてはどうなのだろうか。
「フィニッシングのマシンとしては、平綴じができるタイプのフィニッシャーと、中綴じができるタイプのサドルフィニッシャーの2つのオプションを用意している」。
サドルフィニッシャーは80g紙で、20枚までの中綴じができる能力を持っている。A4換算で80ページまでの冊子を作ることができる。
「坪量がちょっと厚くなりますと、20枚よりも下がってしまうのですが、ただ、中綴じで20枚、80ぺージとなりますと、それなりの厚さになりますので、一般的には20ページとか24ページ位のページ数が多いのではないかと思っています。カタログやパンフレット等の用途には十分お応えできるようなオプションと考えています」。
C7000VP本体の商品投入は年末となるが、その時点ではサドルフィニッシャーとフィにシャーの他に、小口トリマーが用意される。
本文は一緒で、表紙だけ変えたいよという場合には、表紙のインサーターが用意され、最初に表紙だけ刷ってセットし、本文印刷と合わせて丁合し綴じ加工を行っていく。
年末から発売が開始されるC7000VPの価格はRIP込みで3000万円代。ゼロックスDC8000と競合することになりそうだが、「価格競争はある程度考えた上での値付けをさせていただいています」と言う廣井正和氏の答えからも意欲を十分に伺える。
デモンストレーションを始め、ユーザー環境を模した検証作業、各種の講習やセミナーなどを行う施設も開設される。「キヤノン・プラザS・プロダクションシステムセンター」と言う名称で、ゼロックスepicenterを追撃する構えを見せる。
現在、印刷業界の中でのリーディングカンパニーに、意見を求めながら、今後の市場戦略を構築している。印刷業界に参入するキヤノンと、POD基幹機種C7000VPの動向からしばらく目が離せない。
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