TOKIデザイン室主催、新生紙パルプ商事特別協賛、モリサワ/精興社協賛、加藤國康/コマンドN協力で『坪内祝義展:みたてーかなTokiyoshi Tsubouchi Exhibition:MITATE-KANA』を4月4日から26日、千代田区神田錦町・プロジェクトスペースKANDADA(精興社1F)で開催する。 ■ 企画意図 平安時代の「平仮名の書」は世界最高水準に達した絶品の表現であるといわれる。一日の過半を手習いについやして恋歌を書いていた平安貴族の女性たちが、書く訓練を重ねることで「平仮名文化」を高度に洗練させていったという専門家の指摘に、なるほどとうなずかされる。 奈良時代末期から平安時代にかけて、日本は中国にならった左右対称の意匠から脱却し、左右のバランスを“くずし”た表現を意識するようになった。「平仮名文化」はそうした時代の中で育まれ開花した。絵画的ともいえる豊かな表情をもつ「平仮名」には、絶妙な“くずし”の美を見てとることができる。 グラフィックアーティスト坪内祝義は日本の「書」に深い関心をもち、とくに「仮名文字」をテーマにしたデザインを手掛けてきた。同展では「平仮名」に焦点を絞った新作を発表するとともに、これまでの作品を併せて展示する。新作シリーズの[ 平仮名を視る] では独自の視点から「平仮名」の美しさを見いだし、[ 感情の言語] では現代人の感情を表わす斬新な文字表現の世界を展開している。書体の世界にユニバーサルデザインの思想が導入され携帯電話の新書体が検討されている現在、「坪内祝義展:みたて-かな」が「平仮名」への新たな関心を高める一助となれば幸いである。
展示構成は次のとおり。 1.[平仮名を視る]シリーズ 「平仮名」には筆遣いそのものにメッセージ性があり、大胆なトリミング(部分カット)をしても何の字であるか解読することができる。このシリーズでは、ぎりぎりのところまで部分を切り取っている。そのことで「平仮名」のもっている美しさがより一層強調されるばかりでなく、語りかける力が一向に失われていないことに気づかされる。書体には、筆の運びや形状の美しい「光朝」「リュミン」「秀英」の3 種を選んだ。 2.[感情の言語]シリーズ 東の空から昇る燃えるような太陽に歓喜する声。狩りに出た男たちが獣と対峙して震えおののく声。人類がはじめて発した声はどのようなものだったのか。言葉として文章を成す以前の原言語には興味深いものがある。このシリーズでは、本能的に発せられる“体内言語”ともいうべき音声を表現するために、表音文字である「平仮名」に新たな表音的デザインを施している。現代に生きる私たちの感情を率直に反映した作品といえるだろう。 3. [モリサワカレンダー] 坪内祝義が近年手掛けた、日本の「仮名文字」をテーマにしたモリサワのカレンダー2点を展示する。「甲骨文字から仮名へ」と題した2007 年版では、占卜の記録でもある甲骨文字から、王羲之など中国における書の大家の文字、平安時代の著名人の文字、万葉仮名から派生したさまざまな仮名文字までを紹介。2008 年版の「あの人。その人。書状の字。」では、足利尊氏、淀君、北条政子など鎌倉時代から江戸時代初期にわたる歴史上の人物の書簡を取りあげている。 4. [平仮名短歌] 坪内祝義が自ら詠んだ短歌「かわせみの あそぶかわせの けがれなきいのちのしみず とわにまもらむ」の平仮名をグラフィック構成した作品。会場内では、この短歌を音読した音声をベースにしてコンピュータで制作した曲がBGMとして流される。
■ 坪内祝義 プロフィール 1946年岐阜県生まれ。1964年岐阜県立多治見工業高校デザイン科卒業、特種製紙入社。1970年田中一光デザイン室入社1982年TOKIデザイン室設立。ポスター、ブックデザインなどグラフィックデザイン全般にわたる幅広い活動をしている。近年の仕事に、銀座・紙百科(SPP) 、美術本、アートセレクションシリーズ(小学館)、江戸文化歴史検定などがある。69 年日宣美奨励賞をはじめ国内外で多数受賞。N.Y. 近代美術館、富山県立近代美術館、ステーデリック美術館、ミュンヘン近代美術館、カナダ科学技術博物館等に永久保存されている。現在TDC、JAGDA会員。
会期中開催イベントは次のとおり。 【オープニングレセプション】 ▽日時=4月4日[金]18:30~20:00 ▽場所=展示会場内 【ギャラリートーク】 ▽日時=4月18 日[金]18:30~20:00 ▽場所=同上 ▽出演=曽我部昌史(神奈川大学教授・みかんぐみ)、加藤國康(編集者) ▽テーマ=原材料[かな] で挑戦する表現 要予約のこと(先着50 名)。 参加費(1drink+food)¥800。 申し込みはtoki-d@smile.ocn.ne.jpまで。
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