日印産連 2017地域連携事業検討シンポジウム開催、4社が成功事例を紹介
2017年03月07日
 一般社団法人日本印刷産業連合会(日印産連、山田雅義会長)の価値創出委員会主催、2017地域連携事業検討シンポジウム「注目!地域ブランド戦略最前線~日本の地域おこしをリードする印刷産業~」が3月6日、中央区・日本印刷会館で開催された。
 今日、SNSなど情報メディアが進化し多様化する中、地域の文化資源や産業資源の魅力あれる地域資源として情報化することがますます求められている。地域資源のブランド化を推し進め情報資源として公開し、生活者や旅行者に伝達することが極めて重要だ。
 同シンポジウムでは、基調講演に、東京理科大学大学院イノベーション研究科知的財産戦略専攻(MIP)教授の生越由美(おごせ ゆみ)氏を講師に迎え、『これからの地域ブランド戦略と印刷産業』をテーマに講演をした。続くシンポジウムでは、4社から地域連携とブランディングの事例発表が行われた。
 基調講演で、生越氏は知識社会の到来、地域活性化と印刷産業の二つについて説明した。知識社会の到来は、農業社会(公共財)→工業社会(私有財)→知識社会(知識財)と変遷していき、中でも工業社会において、技術革新が活発になり、情報が大量に流通した。ヨハネス・グーテンベルグが始めた活版印刷により印刷された本は財産であるとみなされ、印刷技術が工業社会を創った。さらに、第3次産業の進展、第2次産業のGDP比、第1次産業のGDP比、付加価値の源泉など解説した。
 そして、地域活性化と印刷産業について、①地域資源を活かす②地域が幸せになる③歴史資源を活かす④コンテンツ資源を活かす⑤ものまねをしない⑥地名と旧地名を活かすーーの6つについて解説した。
最後に、同氏は「社会の変遷が印刷会社にどのようなチャンスがあるか、今までの印刷ニーズを積み上げ、新しいビジネスに展開していく。地域ブランドを構築し、世界へ進出してほしい」と締めくくった。


 生越教授

 シンポジウムでは、まず、第一印刷代表取締役社長の西原孝太郎氏が『ゆるキャラビジネスへの挑戦“いまばり バリィさん”』をテーマに講演。バリィさんは、愛媛県今治市をイメージしたPRキャラクターで、2012年のゆるキャラグランプリーで1位を獲得。バリィさんのグッズは200種類以上ある。無名だったバリィさんの知名度を高めるため、そして、グッズの販売戦略について語った。今後の展開として、「全国から愛媛・今治に足を運んでもらうこと」とし、その為に県外イベント(年間100ヶ所超)、各種メディアを活用してバリィさんの知ってもらい、今治のファンを増やすことだという。また。昨年、バリィさんのコンセプトカフェをオープンし、バリィさんカレーの写メを撮る為に訪れている。
 

 西原社長

 二番目に、一心社代表取締役社長の浦久保康裕氏が『地域連携ポップカルチャー事業 ONE SAMURAI JAPAN』をテーマに講演。浦久保氏は「中村元全印工連会長の共創ネットワーク、浅野元全印工連会長の業態変革で、これまで生き残れる印刷業界を模索してきた」と述べ、そのためには「請負型の印刷会社から、自らの力で売上を作れる印刷会社に業態を変革さえることだ」と強調した。
 インバウンド需要を全国各地域の繁栄に繋ることとし、日本の最強コンテンツ「ポップカルチャー」をテーマに全国47都道府県の印刷会社ネットワークが他の追随を許さない。そして、インバウンドのターゲットは爆買いのアジア人ではなく、ヨーロッパや北米からの観光客とし、今後、来年の冬季オリンピック、2019年ラグビーワールドカップ、2020年東京オリンピック・パラリンピックなどのイベントでさらに、大阪に観光客が訪れると期待される。
さらに、同氏は「継続的に発信することにより、継続的に顧客が来る。協業ができてくる、47オールジャパンで発信していく。今後、欧米向けのイベント準備を進めている」と促した。


 浦久保社長

 三番目は、文伸代表取締役社長の川井信良氏が『井の頭公園100年の地域連携と情報発信』をテーマに講演。まちづくりは印刷業者や情報を扱う業者にとって公私とも活躍し易い。それは地域情報が集まり易いポジションであり、取材・編集力があり、情報加工と発信も得意である。同社において、まず、フリーパーパー『いのきちさん』による発信と『いのけん』(井の頭公園検定)の実施検定と検定本の作成を行った。これらのコンテンツを利用し、井の頭公園100周年記念の企画で、『井の頭公園100周年写真集』と『井の頭公園いきもの図鑑』を5月までに作る予定だ。最後に、好奇心と想像力を失わないこと、プロデュース役やディレクター役、情報の編集力と発信力が印刷会社に求められていると締めくくった。

 
 川井社長

 最後に、秋田印刷製本代表取締役社長の大門一平氏が『秋田米作農家との連携による高負荷価値流通事業の展開』をテーマに講演。平成18年平成の大合併により秋田県の市町村は69から25になり、44件の得意先が無くなった。さらに、農家から「美味しい米を作るから買ってくれ」と要請される。ブランド米は少量で販売できれば商売になるが、ブランドとは。そこで、同社にプロジェクトチームを立ち上げ、保存性の高い1Kgパッケージを開発、真空パックと筒型パッケージが誕生した。
 一軒の農家からの要請がきっかけとなり、「地元農家支援」の試みが始まった。印刷会社が米や食品を売っていることに人は驚くが、どんなものを売るにしてもパッケージやチラシなどの印刷が必要になる。米の販売から、現在では秋田の名産品や地元企業とのコラボレーション企画などでバリエーションが増え、現在の提携先は41社となった。今後、今年の秋にアンテナショップとしてのカフエをオープン予定だ。


 大門社長